鱗楼は、大正初期に鮮魚店として創業したと伝わっています。
ただ、大正時代にはすでに三代目を数えており、創業は明治期にさかのぼる可能性があります。
当時はまだ法事や葬儀を自宅で行い、ご近所の方々が料理を作ってふるまうのが一般的でした。鱗楼はその料理を出前するところから始まり、やがて当館に集まって法事や慶事、宴会を行うようになりました。
この流れは今も続いており、出前料理や館内でのお食事を通じて、地域の節目に寄り添っています。
さらに四国八十八ヶ所霊場第16番・観音寺と第17番・井戸寺の近くという立地から、巡礼の方々やビジネスで訪れる方の宿としても親しまれてきました。
現在は五代目を中心に、調理師免許を持つ家族で切り盛りしています。
旬の食材を活かした献立は日々少しずつ変わり、連泊のお客様にも毎日異なる料理をご用意しています。
四国八十八ヶ所霊場を巡拝されるお遍路さんや、阿波おどりの時期には海外からのお客様にも多くご利用いただき、地元の方々には法事・慶事の宴会や仕出し料理(松花堂弁当など)でもご愛顧いただいています。
鱗楼はこれからも「旅の宿」と「地域の食の場」という二つの顔を大切にしながら、心温まる料理とやすらぎを提供してまいります。
